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ふっくらふわふわに仕上がるのは
■ふっくらふわふわに仕上げたい! お風呂上がりのバスタオル、下着、おむつなど、直接肌に触れるものは、ふっくらふわふわに仕上げたいと思います。また、下着などは汗も素早く吸い取ってほしいので、吸水も良くなるように仕上げたいものです。 アルカリが強いと仕上がりが固くなる、石けんで洗うとふわふわになる、純石けんの方がふわふわになる、いやいや適度に石けんカスが残った方がふわふわになる・・・・いろいろな体験談が聞こえてきますが、体験談というのは、使っている石けんも違いますし、水の硬度も違います、個人の感覚も違います、思いこみもあります。 それじゃあ、同じ洗濯物を条件を変えて洗濯して、結果を比較してみたいと思いました。さて、さてその結果はいかに・・・ ■実 験 洗濯条件 実験に使ったもの: タオル(綿100%) 35cm x 85cm。新品、同一ロットの物を準備しました。 洗濯条件: (1) 水洗いのみ (2) アルカリ洗浄 (炭酸塩 2g→2Lの水道水に溶かしました) (3) 炭酸塩入り粉石けん (炭酸塩30%入り粉石けん4g→2Lの水道水に溶かしました) (4) 合成洗剤 (トップ2g→2Lの水道水に溶かしました) (5) 炭酸塩入り粉石けん+軟水 (炭酸塩30%入り粉石けん4g→2Lの軟水に溶かしました) (6) 純石けん+軟水 (純石けん4g→2Lの軟水に溶かしました) 水温: 28度 水道水の硬度: 90 いずれも2リットルの水道水(または軟水)を使い、手洗いをしました。軽く絞ったあと、(1)(2)は水道水で1回すすぎました。 (3)(4)は水道水で2回ためすすぎ、(5)(6)は軟水で2回ためすすぎしました。すすぎの終わったタオルは、洗濯機を使って2分間脱水し、同一条件で干して乾燥しました。 実験1 乾燥の終わったタオルを写真のようにたたんで、約2kgの本をのせて15秒間押さえつけたあと、自然にふくらんだ高さを測りました。
実験2(官能試験) 4人の人に、どのタオルをどのように洗ったかを教えないで触ってもらい、ふわふわ度合いを採点してもらいました。 採点は新品のタオルを3点として、1点:かなりごわごわ、2点:ややごわごわ、3点:変わらない、4点:ややふわふわ、5点:かなりふわふわです。 実験3(吸水力) それぞれのタオルに水を10滴落として、広がった水の直径を測りました。吸水性の良いものはよく広がります。 ■気になる実験結果 タオルのふっくら度(たたんだときの高さ) 結果は以下のようになりました。
3.5.6の石けんを使った洗濯ではいずれもふっくら仕上がっています。4.の合成洗剤も石けんの場合とほぼ同じ結果でした。1.の水洗いのみの場合は石けんを使ったときよりふっくらしていません、さらに2.のアルカリ洗浄はさらにふっくらしない結果でした。 石けんや合成洗剤は、繊維の表面にわずかに残留し、反発しあうので繊維が立ち、ふっくら仕上がりますが、アルカリ洗浄ではそのようなことが起きないため、どうしてもふっくらとは仕上がらないようです。 触った感じでどれがふわふわか(官能試験)
新品のタオルに比べて、水洗いとアルカリ洗いはごわごわに仕上がっています。特にアルカリ洗いはかなり繊維が固く感じられました。これは、アルカリによってセルロースの結晶構造が変わったためと、炭酸塩投入によって、水道水中のカルシウムの一部が炭酸カルシウムになってタオルに残留したためと考えられます。 (炭酸塩で水が濁る? も参照してください) 炭酸塩入り粉石けんと合成洗剤の仕上がりはほぼ同じで、新品のタオル程度の点数でした。粉石けんが思ったほどふわふわに仕上がらなかったのですが、これは石けんカスの影響と考えられます。使った水道水の硬度は約90とやや高めですが、関東では普通に見られる硬度です。水温は28度と高いのですが、この条件では石けんカスの残留は防げないようです。 炭酸塩入り粉石けん+軟水は17点と高い点数でした。使った粉石けんは3.と同じで、水道水を使ったか、軟水を使ったかが違うだけです。軟水の場合は石けんカスができないので、タオルはふわふわに仕上がりました もっとも得点が高く、採点者全員が満点を付けたのは、純石けん+軟水の組み合わせでした。 吸水力
意外なことに3.炭酸塩入り粉石けんの吸水力が新品のタオルに比べても落ちています。合成洗剤の方が吸水力が大きいという結果でした。これは石けんカスの残留によるものと考えられます。石けんカスは水に溶けないで、繊維に残留すると水をはじきます。この結果は フリースライナーの撥水 の実験とも一致しました。 5.6.の軟水を使った洗濯では、吸水力も問題ありません。先の官能試験の結果をあわせても、石けんカスが、洗濯物をふっくら仕上げるのに邪魔をしているようです。 |