Home/

イオン交換樹脂の再生


■イオン交換樹脂の再生
 

 軟水器は使っていくと、イオン交換樹脂にカルシウムなどの硬度成分が吸着して、これ以上吸着できなくなると、軟水が作られなくなります。
 イオン交換樹脂は、食塩水を流すことで再生して、何度でも使うことが出来ます。再生に必要なのは食塩だけで、そのため非常にランニングコストが安く軟水を作ることが出来ます。
 慣れてしまえば、なんてことのない再生作業ですが、初めてするときはおっくうものです。また、ちょっとしたコツがあるので、注意しないと上手く再生されないこともあります。ここでは、今までの、皆さんの意見などから、再生のコツをまとめてみました。
 
1.イオン交換樹脂
イオン交換樹脂の表面
にはナトリウムイオン
が吸着している
2.軟水を作る
水道水を流すと硬度成分が
吸着されて、代わりにナトリ
ウムが溶け出した水(軟水)
が作られる
3.飽和
多量の硬度成分が吸着
すると、イオン交換樹脂
は飽和して、硬度漏れを
起こす
4.再生
大量のナトリウムを含ん
でいる食塩水を流すと、
吸着している硬度成分が
追い出され、イオン交換
樹脂は再生される
5.再生完了

■再生時期の見極め方
 
(1) 水道水の硬度から計算する
  使っている水道水の硬度が分かっていれば、1回の再生で作られる軟水の量は計算できます。計算の仕方は
 
  ペットソフナー (1リットル)の場合      75,000 ÷ 硬度 = 作られる軟水の量(リットル)
  マルチソフナー(2リットル)の場合     150,000 ÷ 硬度 = 作られる軟水の量(リットル)
  ポリソフナー  (4リットル)の場合     300,000 ÷ 硬度 = 作られる軟水の量(リットル)
 
 例えば、ポリソフナーで、硬度50の水道水を使っている場合は、300,000÷50=6,000リットルの軟水を作ることが出来ます。お風呂の給湯に200リットル使ったとして30日間に1回再生すればいいということになります*。
 自分が使っている水の硬度は こちら で調べることが出来ます。
 *注意: イオン交換樹脂は再生の仕方、経時変化で、作ることのできる軟水の量は変わります。この数字は目安としてください。

 
(2) 硬度指示薬やチェックシートで調べる
 硬度指示薬は、調べたい水50mLに1〜2滴入れるだけで、軟水(5ppm以下)なら青、それ以上だと紫〜赤になります。また、硬度チェックシートは、大まかな硬度を段階的に調べることが出来ます。硬度チェックシートは観賞魚店などで入手できます。
硬度を調べる 

(3) 感覚で判断する
 軟水を使っているとわかりますが、石けんシャンプーの仕上がりが悪くなった、体を石けんで洗って、すすいだ時ぬるぬるしなくなった、洗顔後つっぱるようになったら、軟水で無くなったときです。また、タオルをすすいだときに洗面器に石けんカスが付くようになったり、洗濯時に泡立ちが悪くなったりすることでもわかります。軟水をなめてみると水道水より甘いので、軟水かどうか判断できます。
 
 
■再生方法の基本
 
1.再生に使う塩 
 塩事業センター(旧塩専売公社)の精製塩(99%以上)を使ってください。スーパーなどで、一番安い塩です(1kgで100円、5kgで500円くらい)。漬け物の塩、沖縄の自然塩、赤穂の塩等は、不純物としてミネラル分(マグネシウム、カルシウムなど)が含まれているので使わないでください。
 
2.食塩水の濃度と量
 イオン交換樹脂1リットルにつき、10%の食塩水を2リットル使います。
例えばペットソフナー(1リットル)の場合は、食塩200gを水2リットルに溶かしたものを使います。マルチソフナーの場合は食塩400gを水4リットルに溶かしてください。ポリソフナーの場合は食塩800gを水8リットルに溶かしてください。
 
3.食塩水の流す時間と、流し方
 食塩水を流す時間は、30分を基本としてください。あまり早く流しすぎると十分再生できません。また、流すときは食塩水がイオン交換樹脂全体に流れるようにする必要があります。一部にしか流れないと、一部しか再生されないので、軟水が出来る量は少なくなります。
 
4.再生に使った食塩水は再利用できない
 再生に使った食塩水には高濃度の硬度成分が含まれているので、再利用はできません。 


■ペットソフナーの再生
 
 再生容器
コック付のポリタン(2リットル)
コックで流量を調節できます
お手軽再生器
小さなゴミ箱にペットボトルの
蓋を両面テープで貼り付け、
中央に1.5mmの穴を開けて
います
(オプションで販売しています)
専用再生容器
マルチソフナー用の再生容器
(流量調整チューブ付)も使う
ことが出来ます
ペットボトルの底に1mmくらい
の穴を開けた容器を使うことも
できます
 
 オーバーフロー再生
ペットソフナーに直接塩水を流すだけでは、塩水はイオン交換樹脂の一部にしか触れずに流れてしまい、再生は上手くいきません。このように、ペットボトルがちょうどはいる容器を使うと、食塩水はイオン交換樹脂全体にいきわたり、その後外側の容器をあふれるようにして流れ出します。これはオーバーフロー再生という、再生を効率的に行う方法です。
あらかじめ容器には水を入れておいて、ペットソフナーにもイオン交換樹脂の上面まで水を入れてから、食塩水を流してください。
 
 樹脂の洗浄
 再生が終わったイオン交換樹脂に、水を1リットル程度、同じ容器を使ってゆっくり流して、溜まっている食塩水を流してください。その後は、通常の使い方のように水を流して、出てくる軟水に塩味がしなくなったら再生完了です。
 
■マルチソフナーの再生
 
 再生容器
専用の再生容器を作ってください。5リットルくらい
のバケツかゴミ箱の、底に近い壁面に4mmくらい
の穴をあけ、付属の流量調整チューブを差し込み
ます。穴は、ドリル、キリ、熱したドライバーなどであ
けてください。
上手く穴があけられない方は、このように容器の底に
チューブの先をガムテープで固定したり、チューブの先
におもりをを付けて沈めてもかまいません。
水を流すときは、チューブのもう一方から、少し吸って、
チューブの中に塩水を入れてください。
 
 接続と再生
再生容器はマルチソフナーの下の口に接続してください。このとき際せ容器の底(A)は、必ずマルチソフナーの出口(B)より高くしてください。低いと水は流れません。 塩水を流すと、このように内部に塩水がたまっていきます。 そして、イオン交換樹脂全体を通って、塩水は廃棄され、イオン交換樹脂は効率よく再生されます。 これは、悪い例
上から水を流しても、塩水はイオン交換樹脂の一部にしか流れないので、上手く再生できません。
 
 
■マルチソフナーX/Y、ウォッシュソフナーU、ポリソフナーUの再生
 
 再生容器内蔵のマルチソフナーX/Y、ウォッシュソフナーU、及びポリソフナーUの再生は簡単です。
下の口にドレンチューブを付けて、上の口から食塩水を流し込むだけです。マルチソフナーは4リットル、ウォッシュソフナーは3リットル、ポリソフナーUは8リットルです。


マルチソフナーXの場合、以下のような簡易再生もできます。ただし、これは簡易再生で、1〜2ヶ月に1回は、食塩水4リットルを使って、丁寧に再生してください。


マルチソフナーの下の口にドレ
ンチューブを差し込んでください
蓋を開けて、食塩1カップを
入れてください
水をこれくらいまで入れて、蓋
を閉めてください
流量を絞って(1分間で200mLの
コップが一杯になる程度)30分ほ
ど流すと自動的に食塩が溶けて
再生されます。再生後、食塩が溶
けていることを確認してください。
 
 
■ウォッシュソフナーの再生
 
 ウォッシュソフナーの接続ホースを外すときは、必ず水道元栓を締めてください。また、元栓を閉めても、ソフナー内部に水圧がかかっている場合があり、ホースを外したときに水や、イオン交換樹脂が吹き出すことがあります。ホースを外す前に、元栓を止めた状態で、洗濯機を給水してください。これで、内圧はゼロになります。
 再生容器内蔵のウォッシュソフナーUの場合は上を参照してください。
 
入り口ホースは外して、出口ホースを図の
ようにS字型にしてください。こうすることで
、塩水はイオン交換樹脂全体を通って効率
よく再生されます。
水を注いで、ソフナー内部を水で満たし、
出口から流れ出すことを確認してください。
専用の再生容器を取り付け、食塩水を流し
てください。


■ポリソフナーVの丁寧な再生
 
 ポリソフナーVの再生は、通常取説通りでいいのですが、しばらく使っているとイオン交換樹脂にチャネリング(一部しか流れない道)ができて、再生の効率が悪くなったり、完全に再生できずに再生頻度が多くなったりすることがあります。そんなときは、少し手間はかかりますが、以下のような丁寧な再生を行ってください。

1.ホースから息などを吹き込んで内部の水を出します。*
再生用食塩水が薄くならないためです。
2.約50度のお湯2リットルに食塩200gを溶かしてソフナーの中に流し込みます。この時、矢印のリーク弁を持ち上げると、早く流れ込みます。
お湯を使うのは再生効率を高めるためです。
3.付属のネジニップルをソフナーの出口にねじ込み、ホースを接続し、密封状態にします。 4.ソフナー全体を上下左右に振って、中のイオン交換樹脂が食塩水と混ざるようにします。時々かき混ぜながら、このように横にして30分放置します。
こうすることで、イオン硬化樹脂が食塩水に触れて、大部分が再生されます。
*ゴムボート用のポンプ、自転車のポンプなどを使うと楽です

5.30分たったらソフナーを立てて、
しばらく静置します。イオン交換樹脂
が沈んだら、ホースから息などを吹
き込んで大部分の食塩水を出します。
食塩水と一緒に高濃度の硬度成分が
除かれます。
6.ここから後は取説通り再生します。
ドレンチューブはホースの出口に取り
付け、食塩水全部が約30分で流れ出
るように調製してください。


■イオン交換樹脂を食塩水に浸けておくだけで再生出来る?
 
 答え:中途半端な再生になってしまいます

 イオン交換樹脂は完全な球体ではなく、表面にはゴルフボールのような穴が無数空いています。この小さな穴が空いているので表面積が広く、多くの硬度成分を吸着出来ます。
「再生は食塩水を30分かけて流すのが基本」これには意味があります。食塩水を流すことで、イオン交換樹脂の無数の穴の中にまで食塩水が流れ込み、穴の中に吸着された硬度成分まで再生するためです。
 食塩水に浸けておくだけでは、表面のほんの少しだけしか再生されません。

 中途半端な再生は、すぐに硬度漏れをおこし、何度も何度も再生することになります。多少面倒でも基本に忠実な再生を行った方が結果的には手間がかかりません。


イオン交換樹脂の表面には無数の穴が空いていて、
その中に硬度成分が吸着する


■バスポンプを使って食塩水を循環して再生出来る?

 答え:完全な再生はできません、中途半端な再生になります

 イオン交換樹脂を再生するのに、食塩水を流すのが面倒なので、バスポンプを使って循環式で再生出来ないかというお問い合わせがありました。

 食塩水を30分かけて流すのは、上に述べたように、イオン交換樹脂の隅々にまで食塩水を行き渡らせるのが理由の一つですが、もう一つの理由は「常に新しい食塩水を触れさせることで、硬度成分を効果的に溶出させる」ことにあります。
 硬度成分は食塩水に含まれるナトリウムよりイオン交換樹脂への吸着力は強いのです。大量のナトリウムを流すことで、硬度成分は溶出されます。再生時に出てきた食塩水には大量の硬度成分が含まれています。
 再生に使った食塩水を再利用すると、その中に含まれた硬度成分を再びイオン交換樹脂の中に通すことになります。そして、せっかく再生されたイオン交換樹脂に再び硬度成分が吸着します。

 結果として下の図のような中途半端に再生されたイオン交換樹脂になります。たとえるなら、4リットルのイオン交換樹脂を使ったソフナーでも、このような中途半端な再生を行えば、きちんと再生した2リットルのソフナーと同じ量しか軟水を作れないことになります。


再生に使った食塩水をバスポンプで
再利用する
溶出した硬度成分が再利用することで、
またイオン交換樹脂に吸着される
不完全に再生されたイオン
交換樹脂になる