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ザクロよお前もか−健康食品ブームの真偽−


健康食品の盲点
 近年は飽食の時代と言われ、その結果生活習慣病が若年層にも広がり、健康に対する意識は高まっています。健康食品ブームと言われてずいぶんたちます。今までも多くの健康食品、健康法がブームとなりました。クロレラ、高麗人参、紅茶キノコ、ヨーグルト、漢方薬、ビタミン類、ローヤルゼリー、アガリスク、プロポリス、プルーンなどなど。誰でも一度は関心を持ったり、試してみたりしたことがあるでしょう。でも、これらの健康食品は本当に効果があるのでしょうか?
 健康食品とは厳密に定義されている食品ではなく、医薬品のように人の生理活性に明らかな作用をするわけではありません。一般的には、天然物なので副作用が無く、飲み続けることで徐々に健康になるなどと説明されています。しかし、実はこれらの健康食品も副作用が出ることがあります。
 報告された副作用として
 
  クロレラ : 湿疹、ニキビ、吹き出物、吐き気、下痢
  バーラ茶、雲南中国老茶、赤まむし粉末 : 染色体異常誘発性
  スッポン粉末 : 高カルシウム血症
  ローヤルゼリー : 好酸球性胃腸炎
  マコモ製品 : アトピー性皮膚炎の悪化
  プロポリス : アレルギー、接触性皮膚炎
 
などがあります。国民生活センターへの苦情件数でも、美容、化粧品に次いで第3位という数字を見ても、健康食品を頭から信じるのも考え物です。
 
ザクロブーム
 1998年から2000年にかけてブームになった健康食品にザクロがあります。ザクロには女性ホルモンと同じ様な働きをするエストロゲンが含まれるというものです。
 女性は40代を過ぎると女性ホルモンの分泌量が低下し、その結果生理不順、めまい、のぼせ、イライラ、食欲不振などが起こるとされていますが、その予防、治療に女性ホルモンの服用があります(ホルモン療法)。しかし、ホルモンの服用は副作用が伴うので、注目されたのが女性ホルモンと同じ様な働きをする天然成分です。大豆イソフラボンはその代表的な物で、大豆の摂取量が多い日本人は女性ホルモンの低下に関連する乳ガンの罹患率が少ないとされています。
 ザクロブームはそのような女性の心理につけ込む形で起きました。ザクロには天然エストロゲンの女性ホルモン様作用があり、「更年期障害」、「生理不順」、「貧血」、「不妊症」、「ヒステリー」、「白髪防止」などに効くと言ったふれこみで、ザクロを原料にした果汁飲料、濃縮エキス液、エキス錠剤、ザクロワインまで登場しました。しかし、本当にザクロに女性ホルモン様物質が含まれているのでしょうか、そして本当に健康増進に効果があるのでしょうか?
 
公民生活センターの調査
 国民生活センターは1999年10月に市販のザクロ使用食品、錠剤等を購入しテストを行いました。
テスト方法は、
(1) エストロゲン(女性ホルモン)の含有量
 女性ホルモンであるエストラジオール、エストロン、エストリオール及びエチニルエストラジオールを液体クロマトグラフィーで定量した。
(2) 大豆イソフラボン類の含有量
 ダイジン、ダイゼイン、ゲニスチン及びゲニステインを液体クロマトグラフィーで定量した。
(3) クメステロールの含有量
 イソフラボンと同じように女性ホルモン様作用をもつクメステロールを液体クロマトグラフィーで定量した。
(4) 女性ホルモン様作用
 女性ホルモンレセプターとの結合能を測定し、女性ホルモン様作用があるかを調べた。
さて、結果は
 (1)のエストロゲンはすべての製品から検出されませんでした。これは当たり前で植物から女性ホルモンそのものが検出されるはずはありません、もし検出されたらホルモン剤を添加したことになるので当然の結果です。
 (2)のイソフラボン類は、「大豆イソフラボン添加」と記載された製品から検出されました。これはザクロに入っているわけではなく大豆から抽出したイソフラボンを添加した物です。他の製品からはイソフラボン類は検出されませんでした。
 (3)のクメステロールはザクロ種子に含まれるとされていますが、いずれの製品からも検出されませんでした。
 (4)の女性ホルモン様作用も検出されませんでした。
以上の結果から国民生活センターはザクロ食品は宣伝で言われるような効果はあるとは考えられないと結論しています。
 
 健康食品は健康に不安を持つ人の心理に入り込み、高価な製品を売りつける例がかなりあります。健康食品やサプリメントの中にはうまく利用すれば効果もある物もあるので話をややこしくさせます。単なるブームか、本当に効果があるかは信頼できる情報を自分の目でちゃんと探して確かめて下さい。

参考 : 
国民生活センター
健康情報の読み方

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