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うんちもリサイクルで有効活用


 焼却場からのダイオキシン問題、ゴミの埋め立て処分場不足や不法投棄問題など、ゴミの問題は日常的に話題になっています。リサイクルに関する法律もでき、ペットボトルや空き缶だけでなく、テレビや冷蔵庫もリサイクルされるようになりつつあります。それでは、私たちのうんちやおしっこは、ゴミ問題として考えた場合どうなっているのでしょうか?

 し尿は、下水処理場やし尿処理場で処理されますが、いずれにしても処理後に汚泥が発生します。下水処理場から発生する汚泥は、平成10度では全国で3億7400万立方メートル。家庭から出されたゴミが、1年間で5115万トンであることと比較すると、汚泥が、いかに多く発生しているかがわかります。汚泥は従来、その多くは焼却され、焼却灰は埋め立てられていました。しかし、最終処分場不足、そして循環型社会形成のための法律ができ、社会全体が循環型を目指す流れの中で、汚泥をリサイクルする試みも行われるようになってきました。その一例を紹介しましょう。

(1)肥料や土壌改質剤 汚泥を直接、または発酵させて利用します。従来最も多く利用されてきました。
(2)レンガ 下水汚泥の焼却灰のみを原料として、金型に入れ約1トン/平方センチメートルの圧力でプレス成形した後、1050度前後で焼成し、作られたレンガで、歩道、コミュニティ道路、広場、公園などの舗装材などに利用されています。
(3)溶融スラグ 脱水汚泥を乾燥、粉砕して1400度〜1500度の高温で溶融し、有機物を熱分解すると同時に、無機分を流動性のあるスラグとして取り出し冷却固化したもので、容積は通常の焼却灰の半分になります。透水性ブロックの材料、道路の路盤材、コンクリートの骨材として使われています。
(4)軽量細粒材(スラジライト) 下水汚泥の焼却灰を原料として、水、バインダー(接合剤)を加えた後、混練、造粒、乾燥させたものを約1100度で焼成し、製造します。比重が小さく、テニスコート床材料 、 植樹・盆栽等用土、透水性舗装材、ブロック、外装材などに利用されています。
(5)セメント原料 原料をセメントにして、ヒューム管(下水の管)等に利用しています。

 その他、下水処理場では、汚泥消化施設から出るメタンガスを使っての発電、汚泥焼却炉廃熱による発電や冷暖房への利用も行われています。
 東京都における下水汚泥のリサイクル率は、平成5年は12.5%でしたが、平成11年には54.6%と四倍以上になっています。これからは、街のあちこちで、うんちから作られた道路、ブロックなどが見られるようになりそうです。

参考: 日本下水道協会
     東京都下水道局

東京書籍「うんちとおしっこの100不思議」から一部引用しました