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新しい洗濯機
17年間愛用した洗濯機を買い換えることにしました.まだ使えないことはないのですが,故障が多く,何より3Kgというのが,中高生を持つ家庭としては時間と資源(電気と水)の無駄がそろそろ限界かなと思ったからです. さて,パンフレットを集めて,お店の人の話を聞くと,最近の洗濯機ってずいぶんハイテク化してるんですね. 各社のキャッチフレーズを並べてみると, 日立 :PAM・イオン洗浄。イオンチェンジャー内蔵、イオン洗浄で洗剤パワー全開 松下 :遠心力。遠心力水流が繊維の隙間を突き抜ける。芯からからキレイに 三洋 :ななめドラムと超音波。ななめ立体水流が衣類を攪拌して洗浄力アップ 東芝 :まかせてきれい。4つのセンサーで時間と水流をコントロール 三菱 :霧重力。霧と重力の力でもっとキレイ!もっと省エネ といった具合で,話を聞けば聞くほどどれがいいかわからなくなってしまいます. こういうときは商品テスト結果と,自分で評価項目を作って,各社の製品のスペックを並べてみるのが一番です. 商品テストは国民生活センターの「たしかな目」や,暮らしの手帖などによく掲載されています.この2冊は図書館にはたいていバックナンバーがあるので確かめてみるのもいいと思います. 国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/ は,全国の消費生活センターの元締めのようなところで,商品テスト意外にも,様々な生活の知恵を公開しているので参考にされればいいと思います. 「たしかな目」には洗濯機だけでなく,浄水器,カーナビ,ポリフェノール,ザクロ食品,テレビなどの商品テストなどの情報があります. さて、洗濯機の性能評価に以下のような項目を考えてみました。
以上の項目で各社の洗濯機を比較してみました。比較したのは各社の主力機種で7kgタイプとしました。
各社とも洗濯物を入れると、洗濯機が自動的に洗濯物の量を量って、水量は無段階で自動的に決定されます。その時必要な洗剤量が表示されるので、それに従って入れるだけなので、無駄がなく便利になっています。 洗濯時間も各社とも大差はありません。いずれも30分前後。これも一昔前の洗濯機の半分くらい。無駄のない水量設定、シャワーすすぎなどの効率的なすすぎ、インバータによる高速脱水などの総合的な効果ですね。 さて、洗濯にかかるコストで一番は水です。水道代は18.4円/100L。毎日使う物だからこのコストはばかに出来ません。さすが各社ともこのクラスの洗濯機では節水は徹底しており、いずれも100L前後です。これも各社の普及型洗濯機が150L程度であるのに比べてもずいぶん少なく、8年前の洗濯機の約半分です。水量は松下が少なそうですが、これは遠心力洗いをした場合で、他と同じかくはん洗いをしたときは150Lです。 また、このクラスはいずれもお風呂の水を汲み上げるバスポンプが内蔵されており、お風呂の残り湯を使うことで更に使用水量を少なくすることが出来ます。お風呂の残り湯は特に冬場は水道水より温度が高く洗濯には適しています。また、全自動でお風呂のお湯を汲み上げるのも手間がかからなくていい点です。 消費電力は日立、松下がトップの省エネ。他社もこのクラスはインバータが使われていて、消費電力は一昔前の3分の1程度です。ちなみに、インバーターとは電圧を可変することで、洗浄時や脱水時はパワー全開で回したり、洗濯物の量が少ないときはパワーを絞って省エネにしたり、状況に応じて最適のパワーを出す方法です。 さて、効果ですが確かに消費電力は従来の半分くらいになっています。しかしそれは1回の洗濯にかかる電気代が3円が1.5円になる程度の差で、1ヶ月で45円の差、1年で540円の差。インバータ付の洗濯機と従来の洗濯機の値段差はとても取り戻せそうにありません。 また、洗濯機の消費電力は思ったより小さく、毎日洗濯して1ヶ月で60円くらいです。家庭の省エネを考えるなら冷蔵庫を省エネ型にするとか、エアコンの設定温度を上げる、使用時間を短くする方がはるかに効果が出ます。 さて、気になる洗浄力試験です。これは昨年の暮らしの手帖78('99.2・3月号)に記事がありました。汚染布を同じ条件で洗濯し、選択後汚れの落ち具合を光の反射率で測定しています。 結果は(数字が大きいほど洗浄力は強い)
日立が他を大きく引き離してトップです。松下の遠心力は従来機より洗浄力は劣っています。他の機種は従来機と同程度か悪い結果でした。 日立はやはりイオン洗浄が効果絶大だったようです。この洗濯機は小さな軟水器を内蔵していて、軟水で洗浄するという原理です。イオン交換樹脂はすすぎ2回目の時に食塩水で自動的に再生されます。食塩は30回分が容器にセットできるようになっており、残り少なくなると知らせてくれます。軟水で洗浄すると洗浄力は水道水よりずっと優れているのはHPでも書いている通りですが、日立はそれを製品にしたところが凄いですね。ただし、この洗濯機で軟水が使われるのは洗浄の時のみで、すすぎは水道水です(2000年夏発売の新型はすすぎも軟水) 松下の遠心力洗濯機は、洗濯槽を回転させて洗剤の液が洗濯物の中を通過して洗濯槽の外に流れ出し、それを槽の上部から循環するというものです。確かに洗濯物をこすり合わせないので、痛みは少なそうですが、本当に汚れが落ちるんかいな?と疑問でしたが、やはりダメですね。 カタログにも、「最近は洗濯物の汚れが昔より少なくなって、あまり汚れていなくて洗濯することが多いので、洗濯物の痛みを防ぐことを第1に考えた」なんて書いています。う〜ん!!最近の過剰な清潔志向の流れに乗る、安易な製品か (x_x) 好きになれない。 三洋の超音波も期待した割には洗浄力は並でした。超音波洗浄という名前は、めがね屋さんなどにある超音波洗浄機かと思いますが、実際は全然違います。この洗濯機の言う超音波は空気を洗濯槽の中に吹き込み、その泡がはじけるときの音だそうです。超音波洗浄機は高周波のエネルギーの高い音波を使うのに対して、この洗濯機は泡のはじける低周波のエネルギーの低い音波を使っています。なんだか、サギまがいの表現です。 ななめドラムは洗濯物をかくはんする効果はありそうですが、メカニズム的にモーターや軸受け、スタビライザーに負担がかかりそうで、従来品より壊れやすく長期間使えないような気がします。 東芝も特に特長ない普通の製品のようです。暮らしの手帖の商品テストの結果から、洗濯くずが取れず、洗濯物にくずが多く付着していたそうです。 三菱の霧重力は松下の変形のようなものです、衣類が傷みにくいのがメリットか? 以上の結果から、結果としては、日立のPAM・イオン洗浄洗濯機を買いました。 早速使ってみた感想を。 粉石けんで洗濯するとき、軟水の威力は絶大です。普通の水道水を使ったとき、粉石けんの半分の量が石けんカスになるので、どうしても洗浄力は落ちますが、軟水だとパワー全開です。 洗浄力が高い分、粉石けんの使用量を半分から3分の2にしても大丈夫です。家計にも、環境にも優しく、石けんの残留も少なくできます。 ただし、すすぎに軟水を使わないのは方手落ちで、どうしてもすすぎの時に石けんカスができます。日立の最新型はすすぎも軟水でできる物が発表されています。 もっとも、お風呂を軟水にして、残り湯で洗濯すれば、全ての問題は解決します。バスポンプも内蔵されていて、全自動です。 17年前の洗濯機と比べて、音が静か、洗濯時間が早いのは実感。洗濯物の量を自動計測して、水の量を自動的に決める、洗剤の量も教えてくれます。 また、洗濯時の動きも複雑です。最適の洗浄ができるようにプログラムされているのでしょうね。洗濯物が絡まないのも驚きですが、もっと驚いているのは、洗浄力の高さです。同じ粉石けんを使っているのに、洗い上がりが全く違います。これも、メーカーのノウハウがぎっしり詰め込められた結果ですね。 追加情報 国民生活センターが、「たしかな目」'01.8月号に全自動洗濯機の比較テスト結果を発表しました。 比較した全自動洗濯機は サンヨー ひまわり ななめドラムと超音波で洗おう 東芝 銀河 DDインバーター 日立 白い約束 イオン洗浄&イオンすすぎ ナショナル 遠心力洗濯機 三菱 霧重力 18キラットドラム の5機種です。 試験方法は 1) 洗濯性能 (人工汚染布、靴下、布の痛み、毛布の風合い) 2) 騒音 3) 安全性 4) 使用性 (ボタンや風呂水給水ホースの扱い安さ、洗濯時間) 5) 経済性 (使用水量、電力、洗剤使用量、ランニングコスト) です 気になる洗浄力試験結果は(数字が大きいほど洗浄力は高い)
ということで、やはり軟水で洗う日立がトップでした。最下位はナショナルの遠心力。 一方、ランニングコストが一番安いのはサンヨーでした。 詳しい結果は、国民生活センターのHPにも掲載されています 全自動洗濯機の比較試験結果 試験結果の詳細情報(pdf) |