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オーガニック洗剤の洗浄力試験


■オーガニック洗剤を試験する

 オーガニック洗剤とうたっている製品を入手したので、起泡力と洗浄力試験を行ってみました。
 
 このオーガニック洗剤の成分は
    界面活性剤(13.5%)  ヤシ油アルカノールアミド
                  ヤシ油硫酸エステルナトリウム
    炭酸塩
    硫酸塩

 使用量は水30リットルに25gとなっています。

 成分のうち、ヤシ油アルカノールアミドは有機石けんとよばれる物です。石けんを作るときに、脂肪酸と苛性ソーダを反応させる代わりに、脂肪酸とトリエタノールアミンやジエタノールアミンを反応させた物です。石けんではありませんが、比較的石けんに近い性質を持つ物です。
 ヤシ油硫酸エステルナトリウムは、いわゆる高級アルコール系の合成洗剤です。

 粉石けんに含まれる界面活性剤は60〜100%、コンパクト合成洗剤に含まれる界面活性剤は約40%であることと比較すると、ずいぶん界面活性剤の含有量が少ないようです。確かにメーカの説明通り、このように界面活性剤が少ない洗剤で、ちゃんと洗濯できるなら、環境への負荷もずいぶん小さいでしょう。
 界面活性剤がその力を発揮するには、臨界ミセル濃度(cmc)以上の濃度である必要があります。この、オーガニック洗剤は、そんなに低い濃度で洗浄力があるのでしょうか?
 
 まずは、起泡力試験を行ってみました。起泡力と、臨界ミセル濃度、洗浄力は一定の関係があるので、起泡力を調べることで、ある程度洗浄力が推定できます。
 試験は、この洗剤の濃度をいろいろ変えて、泡の高さを測りました。実験は軟水と、水道水(硬度約80)で行いました。
 

 
 軟水の場合、0.1%以上で泡立ちが見られ、濃度とともに泡立ちはよくなりました。一方、水道水の場合は、0.4%でも、泡立ちはわずかでした。
 この洗剤は、硬度に大きく影響されるようです。主成分が有機石けんであるので、石けんと同じように石けんカスができ、水は白濁していました。
 この、洗剤の標準使用濃度は0.083%となっています。この濃度では軟水ですら泡立ちはわずかで、水道水では、ほとんど泡は立ちません。常識的に考えれば、こんな濃度では洗浄力は無いに等しいと推測されますが、それでは、洗浄力試験を行ってみましょう。
 

 
 いつも通り、口紅で汚した布を使い、洗濯機を使って、洗剤、石けんは標準使用量に溶かして行いました。
水は水道水(硬度約80)で行いました。
石けんは、生活クラブ生協の粒状粉石けん(石けん分70%)です。

 結果は、見ての通り、予想通りオーガニック洗剤の汚れ落ちは、水洗いと変わりませんでした。
 
 
 ちなみに、このオーガニック洗剤は、シャンプーや食器洗いもあります。シャンプーの使い勝手は、ヤシ油が主原料の石けんシャンプーと似ています。ヤシ油を原料として作った石けんはラウリン酸が多く、比較的刺激が強く、髪はキシキシした感じに仕上がります。この、オーガニックシャンプーも原料がヤシ油なので、仕上がりはキシキシした感じになりました。