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無添加石けんと炭酸塩の入った石けんはどちらがいいの?


 健康や環境に関心を持つ人が増えて、無農薬野菜、天然果汁100%飲料、無添加化粧品など、「無添加」「100%天然素材」といった商品に関心が集まっています。確かに、このような製品は安全で環境にもやさしそうな気がします。また、「農薬や添加物を使わずに、丁寧に作った製品」という説明は、普通の製品より「高級」であるという印象があることから、メーカーとしても付加価値の高い製品として、価格も高めに設定できるようです。

 さて、このような無添加ブームの中で、消費者の中には洗濯用粉石けんも純石けん99%の無添加石けんが高品質だと信じている人もいるようです。それでは、洗濯用粉石けんは本当に無添加のものが高品質で性能もいいのでしょうか?

 洗濯用粉石けんには通常20〜40%の炭酸塩(炭酸ナトリウムや炭酸ソーダと呼ばれることもあります)が含まれています。炭酸塩は食塩と石灰石から作られる白色の粉末で、水に溶かすとアルカリ性になります。アルカリ性といっても、かび取り用の洗剤や、レンジ掃除用の洗剤に含まれる水酸化ナトリウムのような強いアルカリではないので、洗濯に使う程度の濃度では、少しくらい触っても安全です。また、炭酸塩は炭酸(二酸化炭素が水に溶けてできる)とナトリウム(食塩に含まれる)といった、自然界にごく普通に存在する物質からできているので、洗濯の排水を流す程度では環境に悪影響を及ぼすことはありません。

 では、炭酸塩はどういう目的で粉石けんに添加されているのでしょうか?石けんはアルカリ性では洗浄力を発揮しますが、中性や酸性では、ほとんど洗浄力はありません。また、石けんはアルカリ性の水に溶けやすいのですが、中性や酸性では溶けにくくなります。石けんカス(金属石けん)もアルカリ性の方ができにくくなります。
 つまり、炭酸塩は、水をアルカリ性にして、
 (1)石けんを溶けやすくする
 (2)洗浄力を高める
 (3)石けんカスの発生を少なくする
といった石けんの働きを高めるベストパートナーだったのです。

 もちろん、無添加石けんでも洗濯はできますが、炭酸塩が添加された粉石けんより使用量は多くなります(石けん分として20〜50%多く使われます)。石けんカスの発生が多いので、衣類への残留が多くなり、黄ばみや臭いも残りやすくなります。環境への有機物の負荷も多くなります。また、値段も高いので家計にも響きます。

 洗濯という目的を考えれば、どうやら炭酸塩入りの粉石けんの方に軍配が上がりそうです。日常の洗濯には炭酸塩入りの粉石けんを使い、無添加石けんはアルカリに弱いウールや絹などの洗濯に使うのが良いのではないでしょうか。


「石けん・洗剤100の知識」から、一部引用しました