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洗濯槽の正しい洗い方


■洗濯槽のクリーニングはうまくできていますか?

 全自動洗濯機に黒カビが発生するという記事が新聞をにぎわしてから、洗濯槽をクリーニングする人が増えています。少し前まで、あまり目につかなかった洗濯槽クリーナーは、今ではドラッグショップで何種類も置いています。
 2003年型の全自動洗濯機は、カビ対策をうたった製品も多く発売されています。

 石けんを使うから、合成洗剤より多くカビが発生することはないとの実験結果がありますが、石けんを使う人の中には、黒カビ(ピロピロワカメ)に悩まされている人も多いのではないでしょうか。そして、洗濯槽クリーナーを使って、洗濯槽を掃除してみると、出るわ出るわピロピロワカメ。しかも、やっかいなことに、洗濯槽クリーニングをした後も、洗濯のたびに黒カビが出続け、ウンザリすることはありませんか?何度も何度も、洗濯槽クリーニングを繰り返すのは、精神的にも疲れてしまいます。

 では、なぜ洗濯槽クリーニングがうまくいかないのか? 科学的に考えてみましょう。

全自動洗濯機の仕組み

内槽と外槽の二重構造になっている。

パルセータを回すことで、内槽内に渦巻き水流を起こし、洗濯やすすぎを行う。

脱水は、内槽を高速で回転させることで、遠心力を使って、衣類の中の水を外槽に送り、排水する。


■今までの方法

 洗濯槽クリーナーの取説や、インターネットで紹介されている方法は、
1.洗濯機に、お風呂の残り湯を入れる
2.洗濯槽クリーナーを溶かし、数時間から1晩置く
3.翌朝、通常の洗濯と同じ方法で、1サイクル回す
4.それでも、汚れが取れない場合は、クリーニングを繰り返す
といったものです。
いったいどこが問題なのでしょうか?

1.お風呂の残り湯を入れ、洗濯槽クリーナーを溶かす

 カビは、全自動洗濯機の内槽と外槽の間に発生します。この空間は、水の流れが悪く、石けんカスや、石けんの溶け残りがたまりやすい場所です。内槽はステンレス製であれば比較的石けんカスはたまりにくいのですが、外槽はプラスチック製なので、特にたまりやすくなっています。

洗濯槽クリーナーは酸素系漂白剤が使われていることが多く、その酸化力(漂白作用)で、カビや、石けんカス、石けんの溶け残りを分解し、はがれやすくしま
す。
2.洗濯状態

 ここで、大多数の人は、普通の洗濯物を洗うコースで行っていると思いますが、この通常の洗濯方法は、内槽を固定して、パルセータを回すものです。見た目には、@の洗濯槽で激しく水が動いているように見えますが、Aの内槽と外槽の隙間部分は、それほど水の動きはなく、こびりついたカビの全部がきれいにはがれ落ちるわけではありません。それでも、一部がはがれ落ちて、水の循環で、内槽に流れ込みます。
3.脱水

 脱水で、内槽を高速で回転させることで、内槽の外側に付いていたカビがはがれます。カビは遠心力で外槽にぶつかり、外槽に付着します。カビは、見てわかるように、ぶよぶよの状態なので、外槽のプラスチックにはべったり張り付きます。
4.すすぎ

 通常のためすすぎでは、2.の洗濯と同じで、Aの内槽と外槽の隙間は、あまり水流が強くないので、脱水で外槽にべったり付いたカビは取れません。
 このようにして、残ったカビが、洗濯するたびにはがれ落ちて、洗濯物を汚します。


■洗濯槽の正しい洗い方

 2003年型の洗濯機には、「槽洗浄モード」という機能が付いている物が多く、自動的に洗濯槽のクリーニングをしてくれます。
これは、内槽を回転させながらクリーニングし、効果的にカビを除去し、最後に槽を乾燥させるというものです。
 でも、古いタイプの洗濯機でも、工夫すると、今までよりずっときれいにクリーニングできます。

1.お風呂の残り湯を入れ、洗濯槽クリーナーを溶かす

 市販の洗濯槽クリーナーでもかまいませんが、市販品は十分なクリーニングを行うには、量が少ないものもあります。
 お風呂の残り湯を洗濯機の最大水量まで入れる(お風呂が終わったら、すぐに暖かいお湯を使ってください、温度が高いほど洗浄効果は大きくなります)。
 酸素系漂白剤500gと、粉石けん50gを入れて、かくはんして良く溶かす。粉石けんを入れるのは、界面活性剤として働くことで、しつこくこびりついたカビと洗濯槽の隙間に浸透して、酸素系漂白剤の力を発揮しやすくするためです。
 このまま、1晩放置してください。

2.洗濯は「布団・毛布洗いモード」で

 最近の全自動洗濯機には、布団や毛布を洗うモードがあると思います。これは、パルセーターを回転させるのではなく、内槽を回転させることで、布団などを型くずれすることなく、優しく洗うモードです。
 このモードは、内槽を回転させるので、見た目には@の水流は穏やかですが、Aの内槽と外槽の間には激しい水流が発生します。つまり、カビの発生している部分を洗うには、最も適した方法です。
 この時、糸くずフィルターは取り外して、外槽から循環した水が、内槽に十分流れ込むようにします。さらに、内槽に流れ込んだカビは、観賞魚用のアミなどを使って、丁寧にすくって捨ててください。これをすることで、カビが洗濯槽に残る量を大幅に少なくすることが出来ます。
3.脱水

 もし、機能がある洗濯機なら、
シャワーすすぎを選んでください。シャワーすすぎは、内槽を回転させたままシャワーのように水を注ぐ方法なので、内槽から外槽に激しく水が流れ、外槽に付着したカビを洗い流します。
4.すすぎ

 この時、水をためて「ためすすぎ」をするのではなく、水がたまったら、一度スイッチを切って、「
布団・毛布洗いモード」で動かしてください。ためすすぎより、槽回転ですすいだ方が、隙間の汚れは良く落ちます。わずかに残ったカビも、このすすぎで大部分は取り除くことが出来ます。

 もし、汚れがひどい場合は、ここで、もう一度石けんを入れて洗濯してください。より、確実にカビを落とすことが出来ます。