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廃油石けんの可能性
皆さんは、廃油石けんをご存じでしょうか?廃油石けんは外食業界や学校の給食現場、そして家庭から出る天ぷら廃油などを原料として作る石けんのことです。 外食産業から出る廃油はほぼ100%回収され、家畜飼料や石けんなどに再利用されています。しかし、家庭から出る廃油は、一部の地域では回収されていますが、大部分は各家庭から可燃物として焼却処理されたり、さらに、ひどい場合(おそらくかなりの部分がそうだと思いますが)排水として下水に流されています。 廃油のBODは他の米のとぎ汁やみそ汁に比べてはるかに大きいため、家庭排水の水質を悪化させる大きな原因となっています。 大阪府 生活排水対策マニュアル この家庭から出る廃油を回収して、石けんに加工できれば、生活排水による環境負荷を低減させ、更に再生された石けんを使うことで、石けんの原料として使われる油脂を減らすことができます。これは、一部で問題視されている、「石けん使用量が増えると、ヤシ油増産による環境負荷の増加」に対しても有効な方法になります。さらに、資源の有効利用、循環型社会の構築にも結びつけることができます。 それでは家庭廃油回収の可能性はどうでしょうか。 平成10年版環境白書によると、家庭からの廃油は約20万トンとされ、現在は、ごく一部が石けんに再生されているにすぎません。 廃食油用途フローチャート 一方、洗濯用、台所用石けんの生産量は1999年で4.3万トンです。廃油20万トンから、ほぼ同量の純石けんを作ることができ、20万トンの純石けんからは、通常の粉石けん(炭酸塩入り)なら約30万トン、台所用液体石けんなら約60万トン作ることができます。これは、なんと現在生産されている石けんの7倍の量に相当します。 廃油に含まれている油脂は、大豆油、ナタネ油、ヒマワリ油等が中心の植物油であり、これらから造られる石けんは、オレイン酸やリノール酸の不飽和脂肪酸を主体としたもので、牛脂等の動物油脂を使った石けんよりも冷水に溶けやすく、洗濯用としては優れた品質ものができます。 このように家庭廃油は石けんの原料として、将来有望だと考えられます。地球規模で食糧不足が深刻となってきており、21世紀はますます資源問題、食糧問題は重要な課題となります。 多くの自治体でゴミを分別し、資源として再生する取り組みがされています。この流れの中に家庭から出る廃油も乗せることができれば、廃油回収は一気に進むことになります。 また、廃油から生産された石けんを消費者が利用するという市場も形成する必要があります。 家庭からの廃油回収と有効利用は、今後求められる、循環型社会の構築の一部として注目していきたいと思います。 |
参考となるHP
環境白書平成10年版
第3章第1節 生活者の取り組みによる大きな力