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水温の低い水での洗濯
■水温と洗浄力 水温と洗浄力は大きく関係します。水温が高いほど洗浄力は高くなり、石けんを使った煮洗いは、どんな合成洗剤より汚れはよく落ちると言われています。 一方、冬場の水温の低い水では、石けんの泡立ちが悪い、石けん使用量が増える、石けんが溶け残る、等の問題が発生し、「石けんは冷水では使いにくいので合成洗剤にする」、とさえ言われることもあります。 確かに、水温が低いと洗浄力は落ちるのですが、コープこうべの洗浄力試験では、石けんの洗浄力(汚れの落ち具合)は、水温15℃で73%、水温35℃では78%であり、低水温でも洗浄力は、極端には低下していません。この場合、石けんが完全に溶けたのを確認して試験をしています。 どうやら、一般の人が、石けんは冷水に弱いという原因は、石けんの溶かしかたにありそうです。 ■冷たい水に石けんを溶かす方法 冷水に石けんを溶かす方法はいろいろありますが、次の方法を確かめてみました。使った粉石けんはグリーンコープ製35%炭酸塩入り石けんです。水温は13℃でした。 (1) 洗濯物を入れ、水を注ぐときに、粉石けんをパラパラとふりかける この方法は、全然ダメです。石けんは冷水には溶けにくく、この方法では、洗濯が終わっても、石けんは溶け切っていません。当然、洗浄力も悪く、溶け残った石けんが衣類に残留する、洗濯槽に残留して、黒カビの原因にもなります。 (2) あらかじめ、洗濯機に少量の水を入れ、規定量の石けんを入れ、かき混ぜて溶かした後、洗濯物を入れる
この方法は、よく使われています。長所は、お湯を使わずお手軽な事、欠点は、洗濯物を後で入れるので、全自動洗濯機による洗濯物量の自動計量と、水量の自動決定ができないことです。 低水位で石けんを溶かすため、(1)の方法より、格段に石けんを溶かすことができます。しかし、冷水では、石けんの脂肪酸によっては溶けにくい物もあり、この方法でも完全には石けんを溶かすことはできません。5分かき混ぜても、溶け残りはあります。 (3) 麦茶用の容器やペットボトルに石けんと温水(40℃)を入れ、30秒振り混ぜ、溶かしてから、洗濯機に入れる (2)の欠点である、洗濯物の量の自動計量は問題ありません。容器にお湯と石けんを入れて、かき混ぜるだけなのでお手軽です。温水を使うので、石けんの溶けはよく、ほぼ完全に溶かすことができます。洗濯機に入れた状態では、(2)より溶け残りは少ない結果でした。 (4) バケツや洗面器に温水(40℃)3リットルと石けんを入れ、泡立て器で30秒かき混ぜて、溶かしてから、洗濯機に入れる 温水を必要とすること、ちょっと面倒なのが欠点ですが、完全に石けんを溶かすことができました。溶け残りゼロ、完璧です。 それぞれの方法で溶かした結果を示します。
以上の結果をまとめると
■粉石けんはちゃんと溶かして使おう どうやら、冬場の冷たい水道水で粉石けんを使うには、溶かすのに工夫がいりそうです。 夏と同じように、洗濯機に洗濯物を入れて、水と同時に、粉石けんをふりかける、という方法は、とても使えそうにありません。この方法だと、洗濯が終わっても、粉石けんは溶けきっておらず、衣類への残留や、洗濯機に付着して黒カビの原因になります。 泡立ちが悪いから、粉石けんの量を増やすと、ますます溶け残りが増えて、最悪の結果になります。 粉石けんを溶かすには、お湯を使うのが一番です。麦茶ポットやバケツで30秒ほどかき混ぜれば、水で溶かすより、ずっと効率的に溶かすことができるので、手間を惜しまないでください。これだけで、冷たい水でも、十分に粉石けんの実力を発揮することができます。 お風呂の残り湯も、積極的に活用してください。水道水より、ずっと水温が高く、石けんも溶けやすく、洗浄力も上がります。さらに、水資源の節約になり、環境負荷も少ない方法です。 冷水で洗濯するのに適した粉石けんを使うのも、いい方法です。牛脂などが原料の、飽和脂肪酸の多い石けんは冷水に溶けにくく、大豆油、米ぬか油、廃油石けんなどの、植物油が原料の不飽和脂肪酸の多い粉石けんは、比較的冷水に溶けやすいです。 ただし、過信は禁物!!不飽和脂肪酸は酸化して、黄ばみや臭いの原因になりやすいので、このような石けんを溶け残して、衣類へ残留させたら最悪の結果になるので、注意してください。 |