Home/

軟水はエコロジー&エコノミー


 軟水を使うことで石けんの量を減らせて、家計にも環境にも優しい生活を送れます。では、軟水の効果はどれくらいなのか、数値で示してみました。

計算の根拠は、次の通りです。

  硬度 80 (関東や九州程度)
  粉石けん  1250円/3kg*
  粉石けんの使用量  標準使用量の1.9倍* (76g/30L)
  軟水使用時の粉石けんの量 標準使用量の0.6倍** (24g/30L)
  洗濯物の量 7kg
  洗濯水量  60L
  洗濯回数  1日1回
  洗濯機の洗浄回数  水道水使用時 2ヶ月に1回、軟水使用時 1年に1回
  洗濯槽用クリーナー  450円/1回分
  食塩(軟水器再生用) 500円/5kg
 
  *粉石けんの選び方 から14銘柄の粉石けんの平均を使用
  **粉石けんの選び方 及び軟水ユーザ50人に聞きました アンケート結果から

水道水(硬度80)と軟水を使った場合の、石けん等のコスト比較を次にまとめました。

水道水 軟 水
硬 度 80
洗濯水量(L) 60 60
粉石けん使用量(g) 152 48
 1回あたりの値段(円/回) 63.3 20.0
 1ヶ月あたりの値段(円/月) 1,899 600
 1年あたりの値段(円/年) 23,105 7,300
洗濯槽用クリーナー値段(円/年) 2,700 450
再生用食塩値段(円/年) 1,040
合 計 (円/年) 25,805 8,790

 1年間で、水道水を使う場合 25,805円かかりました。これは、やはり硬度80では、粉石けんの使用量が標準使用量の1.9倍になることが効いています。ただでさえ、合成洗剤に比べて高価な粉石けんですが、硬度が高い地域では使用量が跳ね上がって、家計にも響きます。

 一方、軟水を使った場合は、粉石けんの使用量は、標準使用量の0.6倍で洗濯できるので、水道水の時よりずっと少ない量ですみます。また、石けんカスが出来ないので、洗濯機も汚れにくく、洗濯槽のクリーニングもずっと少なくてすみます。再生に食塩を使いますが、1日1回洗濯したとしても、1年で約10kg、1,040円程度ですみます。ランニングコストは1ヶ月100円以下ですみます。その結果、軟水を使った場合のコストは、1年で8,790円でした。なんと、水道水を使う場合に比べて、1年で17,015円も節約することが出来ます。
 また、軟水を使うと、石けんの残留が少ないので、衣類の黄ばみがずっと少なくなり、漂白剤の使用量も減ります。そして、衣類が黄ばんだといって捨てることもなくなり、ずっと長く使うことが出来ます。

 そして、環境のことを考えると・・・
水道水を使うと、粉石けんは1年間で55.48kg使うことになります。粉石けん中の純石けん分が70%として、38.84kgの石けん分が排水に流れることになります。ちなみに軟水を使ったときは12.26kgになります。
 いくら石けんが生分解性がよいといっても、使いすぎは環境に負荷を与えます。現在、都市部の河川の汚れの大部分は家庭排水が汚染源とされています。特に、硬度の高い地方で、粉石けんを多く使うと、環境汚染につながるので、使いすぎにはくれぐれも注意する必要があります。
 環境問題は排水だけではありません。粉石けんの原料油脂の多くは輸入に頼っています。特に、近年、食料用や洗剤用に生産量が急増しているパーム油は、オランウータンの棲息する熱帯雨林を切り開いて生産地を拡大することが問題であると、環境NGOが指摘しています。
 いずれにしても、粉石けんを使いすぎることは、原料の生産段階でも環境に負荷をかけることになるので、気を付けたいと思います。

 軟水を使うと、このような環境負荷も、水道水の場合と比べて、大幅に少なくすることが出来ます。
 

 
【軟水器再生用食塩の環境負荷】

 イオン交換樹脂1リットルは、硬度成分を約100g吸着します。そして、この吸着した硬度成分を追い出して、イオン交換樹脂を再生するのに、食塩200gが使われます。100gの硬度成分は、600gの石けんと反応して石けんカスを作ります。つまり、200gの食塩が、600gの石けんが石けんカスになるのを防ぐと考えることができます。
では、200gの食塩と、600gの石けんのどちらが環境負荷が大きいか比較してみます。

 まず、食塩ですが、食塩の原料は海水で、イオン交換膜という膜を使って、安価に、環境負荷の少ない方法で作られます。家庭で使われた食塩は、下水に流されますが、下水は処理場を通って、河川から海に流れます。海からとった食塩は、使われた後海に帰るというサイクルができているので、このようなものは環境に負荷をかけないと考えられています。軟水器の再生に、一時的に約10%という濃度の食塩が使われますが、下水で薄められて、直ちに0.1%か、それ以下の濃度になります。食塩はもともと、河川水や井戸水、温泉水に含まれているので、流された食塩が、水生生物や微生物に悪影響を与えることはありません。

 一方、石けんですが、原料は動植物性の油脂です。原料を生産するには、多くの肥料、飼料、水、農薬等が必要です。パーム油などを増産するために、熱帯雨林が切り開かれ、大きな環境破壊が起こっているとの指摘もあります。次に、原料から油脂をとるために、工場でエネルギーが必要になります。日本において、油脂は大部分は輸入に頼っているので、輸送にエネルギーがかります。さらに、油脂から石けんを作る際も、加熱、精製などにエネルギーや水が必要です。また、使われた石けんが下水に流されると、有機物が多いので、BODが高く、環境負荷も大きいと考えられています。BODが高いと、河川の酸素が減少して、ドブ川化し、酸欠状態が続くと水生生物に悪影響を及ばします。下水処理場の負荷も大きく、処理水質の悪化や、余剰汚泥の増加という二次被害も起こりかねません。みそ汁や牛乳を下水に流しても環境負荷になるのと同じように、たとえ石けんといえども、使いすぎは環境に負荷を与えます。
軟水器を使うことで、石けんは、標準使用量の約4割減少することができます。これは、年間数十kgの節約に相当します。

 以上のことを総合的に評価すると、軟水器を使うことによる石けん使用量の減少のメリットは、再生に使う食塩のデメリットより遙かに大きいと考えられます。