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掛川茶が「がん」を予防する?


■ためしてガッテン 「お茶!がん死亡率激減!?超健康パワーの裏ワザ」

 2011年1月、NHKためしてガッテンで上記の内容の番組が放送され、大きな話題となりました。
 ためしてガッテンの記事は→こちら

番組の内容は

  1.静岡県掛川市は、がんによる死亡率が日本一低く、高齢者の医療費も全国平均と比べて20パーセント以上も低い
  2.がん死亡率の低い町で上位にランクされるのは、静岡県の藤枝市や磐田市、浜松市、埼玉県所沢市、三重県の津市や鈴鹿市、鹿児島県の鹿屋市
    など緑茶生産地が多く含まれていた。
  3.お茶に含まれるカテキンが、がん予防効果があるのではないか?
  4.がん予防以外にも、緑茶には悪玉コレステロールを低下させたり、肥満防止、腸内環境改善の効果もある

 緑茶は、ごく普通に飲まれているものなので、健康食品として意識することはあまりないのですが、これほどの効果があるとは意外です。そして、緑茶を多く飲むというのは、習慣とするのに無理がなく、誰でも実践できます。
 今回は、この番組内容を検証してみましょう。


■緑茶に含まれるカテキンの効果とは

 カテキンは、緑茶中に10〜20%含まれるポリフェノールで、血圧上昇抑制作用、血中コレステロール調節作用、血糖値調節作用、抗酸化作用、老化抑制作用、抗突然変異、抗癌、抗菌、抗う蝕、抗アレルギー作用など、多様な生理活性があることが知られています。

大学や国立がんセンターなどの研究機関から多くの研究成果が発表されていますが、その一部を紹介すると

 ・緑茶カテキンを含む錠剤を飲み続けることで大腸ポリープの再発が抑えられる
 ・緑茶に含まれるECGの血中濃度が高いと、女性では胃がんにかかるリスクが最大で7割程度抑制できる。
 ・緑茶を良く飲む男性は前立腺がんになるリスクが低くなる。
 ・睡眠時無呼吸症により脳が酸素欠乏となり学習や記憶に障害をきたすことを、緑茶成分が予防する。
 ・緑茶カテキンが脳の老化予防又は遅延により高齢者のクオリティオブライフを高める。
 ・魚と茶を一緒にとると記憶力向上や認知症予防が期待できる。
 ・緑茶成分のエピガロカテキンガレートにアルツハイマー病の発症を抑える作用がある。
 ・緑茶を飲むと血圧の上昇がゆるやかになり脳卒中の発症をおくらせる効果がある。
 ・緑茶を1日7杯程度飲むことで糖尿病になりかけている人たちの血糖値が改善することを発見。
 ・緑茶を1日6杯以上飲むことで、ほとんど飲まない場合に比べて糖尿病の発症リスクが3分の1程度になる。
 ・緑茶を1日5杯程度飲むことで脳梗塞になるリスクが低下する。
 ・多量のカテキンを含む飲料を毎日飲むことで内臓脂肪や血圧の低下がみられた。
 ・難治性C型肝炎の治療時に粉末緑茶を一緒に摂取することが有効である。

 このように、カテキンの効果については、信頼できる情報が多くあります。このことは、お茶を飲むという簡単なことが、ちまたで氾濫している怪しげな健康食品、サプリメントなどより「はるかに」健康によいことがわかります。


■緑茶を効果的に飲む方法

 ためしてガッテンによると、掛川市ではお茶を1日10杯以上飲む人が多いとのこと。また、お茶の産地の中でもなぜ掛川市のがん死亡率が低いかという点について、掛川茶の特長を述べています。

 ・掛川の茶畑は日あたりが良く、茶に多くのカテキンが含まれている。
 ・カテキンは茶の渋みの成分でもあるので、通常の製法では渋みの強いお茶になる。
 ・掛川茶は、製造段階で通常のお茶より蒸し時間を長くする「深蒸し」という方法で作られ、渋みが少なく味の濃いお茶に仕上がる。
 ・深蒸し茶は通常のお茶より茶葉がくずれて粉っぽいお茶になるが、カテキンなどの有効成分が多く溶け出している。

 このように、掛川茶(深蒸し茶)は、普通のお茶よりも効果的にカテキンを摂ることができます。

 さて、それでは1日に何杯お茶を飲めば効果があるのでしょうか?上記の研究結果から、普通のお茶なら1日5杯から10杯程度(カテキンとして約500mg)飲むとよいということになりますが、この量を毎日飲むのはなかなか大変です。普通より3倍くらい濃いお茶を、朝晩飲むことですまそうとしても、そんなに濃いお茶は渋くて飲めたものではありません。

 花王のへルシア緑茶は、苦み成分やカフェインをのぞいてカテキンを普通のお茶の4倍程度高めたお茶です(1本で540mgのカテキンが含まれています)。脂肪を消費しやすくする特定保健用食品として認められています。これなら、1日1本飲めばいいのですが、1本200円近くするので、毎日の習慣とするには経済的にもきびしいものがあります。

 そこで、忙しい人が、簡単、効果的、そして経済的にお茶からカテキンを摂る方法を考えました。

【用意するもの】
1.深蒸し茶  掛川茶を通販で購入してもいいのですが、できれば習慣とするために、近くのスーパーなどで入手できる「深蒸し茶」を用意します。
         写真のものは近くのドラッグストアで売っていた宮崎県産の深蒸し茶(150gで399円)です。
2.粉末茶   緑茶を粉末にしたもので、お茶の葉をすべて飲むことができるので、カテキンを含む有効成分を100%摂取できます。
         スーパーなどで購入できます。写真のものは40gで500円程度でした。
3.ビタミンC  サプリメントのビタミンCカプセルです。緑茶は時間が経つとカテキンが酸化されて渋みが強くなります。ビタミンCを入れることで、
         カテキンの酸化を防ぐことができます。ちなみに市販のペットボトルの緑茶にもビタミンCが入っています。


【作り方】
1.1リットルのペットボトルに粉末茶小さじ軽く1杯(1.5g)とビタミンCカプセルの中身1錠分を入れる。
2.深蒸し茶小さじ6杯(12g)を急須に入れ、少しさました(90度程度)お湯を入れ、1分30秒抽出し、ペットボトルに注ぐ。
3.さらにお湯を足し、1分おいてからペットボトルに注ぐ。
4.ペットボトルを良く振って蓋をして冷蔵庫に保管する。
5.2〜3日以内に飲みきる。

このように濁ったお茶ができました。
深蒸し茶なので、濁っていますが渋くなく、
深い味のお茶です。
500mLのペットボトルに入れれば、持ち運びもできます。
この1本にヘルシア緑茶に匹敵するカテキンが含まれています。
ちなみに原価は1本30円程度です。



参考
  お茶の効能研究最前線
  健康食品の安全性・有効性情報
  お茶の効果
  Oral Studio カテキン