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ドラム式洗濯機は反エコ製品か?


最近の洗濯機(2004)

 最近の洗濯機のトレンドは。「ドラム式」、「乾燥機能付き」で、多くの新製品が発売されています。
 ドラム式は使用水量が少ないといわれており、節水になりそうです。また、たたき洗いなので、洗浄力も強く、石けん洗濯に向いていそうです。乾燥機能も便利そうですが、気になる消費電力は?今回は、国民生活センターの商品テスト結果から、最近の洗濯機を評価してみました。

国民生活センターの商品テスト

 国民生活センターは、過去何回か洗濯機の商品テストを実施しています。2004年にも、最新の洗濯機についてテストを行っています。
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20040707_1.html
 
テストした洗濯機は以下のとおりです。



 いずれも最新型の洗濯乾燥機です。また、日立以外はドラム式です。

また、国民生活センターは4年前にも洗濯機の商品テストを実施しています。
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20010706_1.html

2000年に実施した洗濯機は以下の通りです。



 こちらは、乾燥機能は付いていない、従来の渦巻き式の全自動洗濯機です。

洗濯時間

 主婦にとって、洗濯時間は気になるところです。さて、ドラム式の実力はどうでしょうか?



 これは、かなり驚くべき結果でした。洗濯時間については従来の渦巻き式の全自動洗濯機が31〜46分なのに対して、ドラム式は73〜139分と2倍から3倍もの時間がかかっています。洗濯だけでこんなに時間がかかるようでは、洗濯物が多くて、2回以上洗濯するときなど1日がかりになってしまいます。
 さらに驚くべきことは、乾燥に多大の時間がかかることです。ドラム式は合計で4時間から6時間もかかっています。なんだか、ばかばかしい時間のような気がします。従来の全自動洗濯機なら、40分程度で洗濯が終わり、そのままベランダで干せば、これほど時間をかけなくても乾いてしまいます。

消費電力と使用水量

 洗濯時間で、いやな予感がしますが、消費電力と、使用水量を比べてみましょう。



 1回の洗濯に必要な電力は、従来のうず巻き式が38〜70Whなのに対して、ドラム式は130〜850Whと2倍から20倍以上も多く電気を消費します。乾燥に必要な電力はさらに多く、2,590〜3,170Whにもなります。合計では3,190〜3,840Whになり、ざっと計算しても従来の洗濯機の5倍程度は多く電気を使います。

 それでは使用水量はどうでしょう?洗濯に使う水量はドラム式3機種平均で102リットルで、従来型平均の141リットルに比べて約28%の節水になっています。しかし、乾燥機能を使うと、乾燥時にも水を使います。これは、水で冷却することで空気中の水分を凝縮させ、室内に水蒸気を出さないためです。乾燥時に使う水は50〜64リットル、合計すると146〜174リットルの水を使うことになり、ドラム式でありながら、従来の洗濯機以上に水を使うことになります。

汚れ落ち



 人工汚染布を使った洗浄力試験の結果(数字が大きいほど汚れが落ちている)は、ドラム式は従来と同等か、やや良い結果でした。しかし、2004年の新製品4種類でもっとも汚れが落ちたのはドラム式でなく、うず巻き式の日立の製品でした。また、全機種を通してずば抜けた洗浄力を示した日立のNW-7PAMはイオン洗浄機能付きで、軟水で洗っているからです。

ランニングコスト



 それぞれの洗濯機の1回あたりのコスト(電気+水+洗剤)と、1年間のコストをまとめました。
ドラム式は、従来式に比べて最大8.3倍ものコストがかかることがわかります。

 国民生活センターのコメントも従来になく厳しい物でした。
 (1) 運転時間が長く、ランニングコストがかかる
 (2) 乾き具合も不十分、シワの状態も、ほとんどはそのままでは着用できない
 (3) エラーが出て止まる、少量では洗濯できないなど使用する上で問題が多かった

まとめ

 ドラム式洗濯乾燥機の評価は思ったより厳しいものでした。現状では、従来品より電気も水も大量に使う反エコロジー製品と言わざるを得ません。ドラム式は日本では新しく、メーカとしても付加価値の高い製品として売り込みが盛んですが、まだまだ完成度は高いとは言えません。
 石けんユーザとしては余計な機能はいらないから、基本機能を充実させて、使いやすい製品を望みたいものです。

こんなドラム式洗濯機が欲しい
(1) 乾燥機能は不要、余計な機能は付けなくてよい。洗濯だけの基本機能がしっかりして、丈夫で価格が安いこと。
(2) 粉石けんを溶かすための容器内蔵。1リットルくらいの容器をモーターで回転させて、石けんを自動的に溶かす。冬場はヒーターで加温して完全に石けんが溶けるようにする。
(3) 軟水器内蔵。日立の旧製品のような自動再生機能付きの軟水器を内蔵することで、石けんの使用量を減らすことができ、洗浄力も飛躍的に高まる。
(4) 省エネ、節水。洗濯プログラムを改善して、短時間で洗濯が終わるようにする。省エネを徹底し、消費電力は渦巻き式と同等にする。また、乾燥機能を省くことで、節水を徹底する。