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高温浸け置き洗い
■熱いお湯で洗濯する 普通に洗濯しても落ちない黄ばみ、どろんこ、しみなどの頑固な汚れを効果的に、そしてお手軽、安全に落とす方法はないのでしょうか? 洗濯にお湯を使うのも効果的な方法です。 温度が高いと、 (1) 石けんが溶けやすく、冷水ではなかなか力を発揮しないステアリン酸などの脂肪酸が、融点以上の温度だと強力な洗浄力を発揮する。 (2) 温度が高いと汚れの溶解度が高まり、水に溶け出す量が増える。 (3) そして、もっとも効果が現れるのは、皮脂の主成分であるトリグリセリド(油脂)です。皮脂に含まれるトリグリセリドは室温では固体なので、繊維の中にがっちりとくっついていますが、融点以上の温度に上げると液体になって水の中に溶け出し、石けんによって乳化されてしまいます。 このように熱いお湯を使うと、水道水よりずっと洗浄力は高くなり、普段あきらめていた汚れもびっくりするくらい落ちます。 さて、それでは、どれくらい熱いお湯を使えばいいのでしょうか?
高温で洗浄力の高い牛脂やパーム油系の石けんにはパルミチン酸とステアリン酸が合計で40〜50%含まれていることから、それらの脂肪酸の力を最大限に引き出すために60℃以上は欲しいところです。 また、汚れそのものの油脂の融点からは、50℃以上あれば十分のようです。 ■どのように洗うか? それでは、60℃以上お湯を使って、どのようにして洗うかを考えてみましょう。 (1) 洗濯機に熱湯を入れて洗濯する (2) 大きな鍋を使ってコンロにかけて煮洗い (3) 保温できる容器を使って浸け置き などが考えられます。 (1)の洗濯機に熱湯を入れる方法ですが、一部のドラム式洗濯機ではお湯で洗うことを前提で作られていますが、普通の洗濯機では60℃以上の熱湯を入れるとプラスチック部品が変形して故障の原因になります。また、洗濯機自体が容量が大きく、熱いお湯を入れてもすぐに冷えてしまいます。大量のお湯を沸かすのも、ずいぶんガス代、電気代がかかりそうです。 (2)の煮洗いは大きな鍋を持っていれば、比較的簡単にできますが、大きな鍋といっても、せいぜい10リットルくらいなので、洗う物はふきんや小さなタオルなどに限られます。また、熱湯を使うので石けんが泡立って吹きこぼれるなど、取り扱いには注意が必要です。小さな子供やペットのいる家庭では特に注意する必要があります。 (3)の高温浸け置きを今回検討したのでご紹介します。 ■高温浸け置き 用意する物 1.20〜50リットルくらいのクーラーボックス 2.厚めのゴミ袋(薄い物なら二重にする) 浸け置きの方法 1.バケツなどに湯沸かし器のお湯(60℃程度)をくみ、粉石けんを溶かす 2.石けん液をゴミ袋に移し、洗濯物の量に応じてお湯を追加する 3.洗濯物を袋に入れ、口をゴム輪で閉じる 4.袋ごと良く振って、石けん液を洗濯物に十分浸透させる 5.袋をクーラーボックスに入れ、30分〜数時間放置する (この間に、汚れは高温の石けん液に溶け出す) 6.袋を取り出して、袋の上から押し洗い、もみ洗いを行い、十分汚れを落とす 7.あとは洗濯機で普通に脱水すすぎを行う。できればすすぎ1回目はお湯がよい。 高温浸け置きは、20〜50リットルのクーラボックスを使うことで、煮洗いでは難しい大物やどろんこのズックなどもも洗濯することができます。 また、一度ゴミ袋の中に石けんと洗濯物を入れたら、あとは放っておくだけだので手間はかかりません。煮洗いのように、ふきこぼれを心配することもありません。 高温の石けん液は脱脂力が非常に強いので、実はかなり危険です。その点、この方法は高温の石けん液がこぼれたり、手に触れることもないので、安心して使うことができます。 クーラボックスに放置するので、温度が下がりにくく、経済的に効果的な洗濯ができます。(洗濯機ではみるみる温度が下がってしまいます)
■高温浸け置きの応用 高温浸け置きは石けんだけでなくいろいろな応用ができます。 1.漂 白 酸素系漂白剤は40〜50℃でもっとも効果的です。お湯にあらかじめ酸素系漂白剤を溶かした液に、漂白したい物を入れてクーラーボックスで保温してください。液がさめないので最も効果的に漂白することができます。 2.酵素入りの洗剤 タンパク質分解酵素、脂肪分解酵素が配合された石けんや洗剤は37℃付近で最も酵素活性が強いので、この温度で浸け置きすると、血液のシミなどを効果的に落とすことができます。注意点は、あまり温度を上げすぎないことです。温度が高いと酵素の活性が無くなってしまいます。 3.煮込み料理 おでんやシチューなどの煮込み料理も、一度沸騰させてから、鍋ごとバスタオルに包み、クーラーボックスで数時間放置すると、自然に煮込まれておいしく仕上がります。専用の真空調理釜を買わなくても、普段使っているお鍋でも全然平気です。 |