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どのスポンジが泡立つ?


 ホームセンターに行くと、様々な種類の台所用スポンジが並んでいます。食器洗い用スポンジは毎日使うものだけにいいものを選びたいものです。

 石けんユーザは、スポンジに直接液体石けんをつけて、泡立てて使う人が多いようです。でも、スポンジによってずいぶん泡立ちが違うことは実感しています。泡が立たなくなると、液体石けんを追加します。つまり、泡立たないスポンジを使っていると、自然と液体石けん使用量が増え、家計に響くだけでなく、環境への負荷も高めることにもなります。

 ここでは、市販されているスポンジについて、同じ条件で泡立てたときに、どのスポンジが泡立ちやすく、経済的に食器洗いができるかを実験してみました。


実験方法

 今回、実験に使った物は以下の通りです。
ウレタン/ナイロンスポンジ

普通に市販されているものです。黄色の部分が目の細かいウレタンスポンジ、
緑の部分が焦げ落とし用のナイロン不織布でできています。
アクリルネットスポンジ

同じ形のナイロンネットスポンジはよく使われています。この製品はアクリルネット
とすることで水だけでも汚れが落ちるとうたったものです。中身のスポンジ部分は
目の細かいウレタンスポンジです。
セルローススポンジ

黄色い部分が植物性のセルロースでできています。捨てられても、植物成分なの
で分解するという説明です。でも、緑の部分はナイロンなので分解しません。
捨てるときは、ナイロン部分をはがす必要がありそうです。
泡立ちキッチンスポンジ

素材はウレタンですが、目が荒いタイプです。説明では泡立ちがよいとのことです。
ボディスポンジ

入浴の時に使う、ボディスポンジもテストしてみました。素材はウレタンで台所用と
同じですが、目がやや粗く、肌触りがよくなっています。
お風呂であれだけ泡立つんだから、期待できます。
ナイロンタオル

やはり、入浴時に体を洗うナイロンタオルです。入浴時に使うと綿のタオルと比較し
て石けんの泡立ちはずっとよいことは分かっています。
今回は、台所で使うことを考えて、4分の1に切って実験しました。

【泡立て方】

 スポンジを水洗いし、軽く絞ったあと、液体石けんをスポイドを使って、正確に1mLスポンジ全体に染みこませます。次に、食器を洗う前に泡立てるやり方と同じ方法で、スポンジを泡立て、その泡を計量カップに受けて、できた泡の量を量りました。
 液体石けんは、グリーンコープ製キッチンのしゃぼん(石けん分30%)を用いました。
 水は水道水(硬度40)を使いました。


実験結果
 
ウレタン/ナイロンスポンジ

泡の量:900mL

この普通のスポンジが、一番多くの泡ができました。ウレタン部分の目が細かく、
水と石けんをうまく保持して、細かい泡が出るためと考えられます。
アクリルネットスポンジ

泡の量:800mL

このスポンジもよく泡立ちましたが、スポンジの量が上のウレタン/ナイロンスポンジ
より少ないので、泡立たせるのに時間がかかりました。
セルローススポンジ

泡の量:200mL

今回の実験では、泡の量は一番少ない結果でした。
やはり、ウレタンスポンジと違ってセルロースは空気を含みにくいので、うまく泡が立
たないようです。
泡立ちキッチンスポンジ

泡の量:300mL

素材は同じウレタンデも、目が粗いので水や石けんが染みこまず、泡立てているう
ちに、外にこぼれてしまいました。
どうやら、合成洗剤のように、桶に洗剤液をためて、その中で食器を洗う時には使え
ますが、石けん用としては使いにくいようです。
ボディスポンジ

泡の量:500mL

期待していたボディスポンジも、食器洗い用スポンジには及びませんでした。やはり
ウレタン部分の目の細かさが効いているようで、目が粗くなると泡がうまくできない
ようです。
ナイロンタオル

泡の量:300mL

お風呂ではあれだけ泡立つナイロンタオルも、台所で使うとあまり泡立たないようです。
やはり、目が粗いので、水や石けんが染みこまず、むだにこぼれてしまうようです。


まとめ

 結果としては、やはり普通のスポンジが一番泡立ちがよいという結果でした。スポンジが泡立つには、@ウレタン部分の目が細かいこと、A水や石けんがしっかり染みこむだけのスポンジの量が重要であること、がわかりました。
 ネットスポンジもよく使われていますが、スポンジ部分が少ないので、ウレタン/ナイロンスポンジに比べて泡立てるのに時間がかかりました。しかし、ウレタンが少ないことは、スポンジが汚れたときに、洗いやすいことを意味しているので、ネットスポンジは汚れのひどいもの用、ウレタン/ナイロンスポンジは軽い汚れ用に使い分けるのが賢い使い方と言えそうです。
 同じウレタンスポンジでも、ボディスポンジや目の粗いスポンジは泡立ちが悪くなります。やはり、スポンジ内部に石けんが染みこまないので、むだにこぼれてしまうからです。ナイロンタオルも同じ理由で、石けんがむだになります。
 セルローススポンジは一番悪い結果でした。天然素材で作って環境にやさしいと言っても、毎日の石けん使用量が増えたら意味がありません。

 また、台所用のスポンジは、古くなってスポンジがつぶれてきたら泡立ちが悪くなります。スポンジの交換をケチっていては石けん使用量が増えるので、くたびれたスポンジは早めに交換しましょう。
 スポンジの泡立ちが悪くなる原因に、スポンジ自体が汚れていることがあります。スポンジ内部に油が染みこんでしまったら、きれいなグラスなどを洗ったときに油が残って、また洗うことになります。そのようなむだをなくすためにも、スポンジ自身もきれいな状態で使ってください。

お礼:この実験を進めるにあたり、グリーンコープふくおか様、地の塩社様にアドバイスをいただきました。ありがとうございました。


【番外編】
 同じ実験を、水道水の代わりに軟水を使ってやってみました。結果は下の写真通り・・・・泡が立ちすぎて計測不能でした。

ウレタン/ナイロンスポンジ(軟水で実験)

泡の量:1000mL以上で計測不能

軟水だと、石けんの量は半分くらいですみます。経済的だけでなく、環境負荷も下げることができます。