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納豆でダイエット? −健康情報の見極め方−


■納豆を食べるだけでやせる?

 「発掘!あるある大辞典U」の2007年1月7日に放送された、「食べてヤセる!!!食材Xの新事実」では、納豆を食べるだけでやせるといったセンセーショナルの話題で、次の日から納豆が爆発的に売れ、スーパーなどから納豆がなくなるといった事態が発生しました。
 しかし、その後の調査で、番組の中の実験、専門家のコメントがねつ造されたものとわかり、大きな問題になりました。その後、この回以外の内容にも、ねつ造や不適切な表現があったことも明らかになり、番組は放送を中止しました。

 発掘!あるある大辞典Uの内容については、以前から問題視する人も多く、こちらのページでは5年目から指摘し続けていました。
 発掘?あるあるトンデモ大実験
 
 確かに、最近の健康ブームにあやかり、このようないい加減な番組が多いのも事実です。それ以上に、健康食品、健康器具等の宣伝、健康をテーマにした衝撃的なタイトルの本など、私が見た限りでは、それらの情報の90%以上は悪質な情報と判断されます。
 しかし、まじめな情報より、それらの派手な情報の方が受けがよく、消費者はすぐに飛びつきます。納豆に限らず、過去にも、様々な健康法、食材がマスコミで紹介されると、売り切れ続出といった異常事態が何度も起きています。
 しょせん健康バラエティ番組なのだから片づけることもできますが、そうでもない事態も多く発生しています。
たとえば、

(1)中国製ダイエット食品による健康被害 http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/index.html
(2)白インゲン豆による健康被害 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/05/h0522-4.html
(3)コンフリーによる肝静脈閉塞性疾患 http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/06/tp0614-2.html
(4)アトピー患者が、健康情報でステロイドに対しての偏見を持ち、症状を悪化させてしまう。
(5)医師よりもテレビタレントの言うことを信じて、民間療法に頼って症状を悪化させる。
(6)がんに効くという民間療法に大金をはたいたが、かえって症状が悪化した。

などの事実は、笑い事で片づけられるものではありません。情報提供者の責任が問われる事態です。


健康情報の真偽を確かめる

 なぜ、多くの人がマスコミなどを通した健康情報に簡単にだまされてしまうのでしょうか?
今回の事件から、消費者が学ぶ点が見えてきます

(1) 健康情報の出所をまず確認する

 健康食品販売業者の派手な宣伝文句、「がんに効く」、「万病に効果あり」、「驚くほどの効果」、「多くの人が実感」、「○○地方では昔から信じられている」、「画期的な研究」・・・などの情報は、まず信じない方が賢明です。
 また、健康番組など、視聴率を稼ぐ目的などで作られたものは、内容が誇張しすぎて信憑性に欠けるものが多くあります。

(2) その商品が過去に問題がなかったかを調べる

 悪徳商法マニアック  訪問販売、通信販売など悪徳なものを検索できる
 東京都の「注意が必要な健康食品」 健康被害報告例をまとめている
 厚生労働省「健康食品のホームページ」 健康食品の適切な利用について等
 国民生活センター 消費者からの苦情、被害報告
 健康食品の安全性・有効性情報 国立健康・栄養研究所

(3) 健康情報の見方、考え方

 何かが健康によいということを証明するには
 a 有効成分が何か見つけ、単離、精製、構造を決定する
 b 細胞や微生物を使って有効性を確認する
 c 動物を使って有効性と毒性を確認する
 d ヒトを用いた臨床試験で、有効性と副作用等を確認する
   このとき、二重盲検法といって、ニセ薬を投与したヒトと、統計学的に有意かどうかを検証する必要がある
 e 疫学的に証明するには、数百人以上の大規模な調査と統計的解析が必要。

 このような情報がそろって初めて、健康によい、生活習慣を変えるべきだといえます。
以下のHPが参考になります
 
 健康情報の見抜き方 健康情報の読み方  医師である作者が、わかりやすく解説
 健康情報に関する推薦図書
 Tsubono Report  がん・栄養・環境リスクに関する疫学研究


■健康情報の見極め方

(1) 健康情報の出展を確かめる  確かな研究かどうか?
(2) 試験管での実験だけでヒトにも効果があるといっていないか?
(3) 医者、○○博士という肩書きだけで信じない  その人の研究内容をインターネットで検索してみる
(4) 言い伝え、口コミ情報はあてにならない  特に販売目的の情報の信憑性は低い
(5) 飛びつく前にまず調べる  インターネットで検索すれば情報は見つかる(ただし販売目的サイト情報は参考にしない)
(6) 鵜呑みにしないで、自分の頭で考える