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苛性ソーダって危険?
| ■石けん作りとお菓子作りは違う 石けん作りに使う道具は、普段料理に使っているような、ボール、泡立て器、計量カップなどだから、苛性ソーダさえ気を付けて使えば、お菓子作りと変わらない……などと説明した書籍やホームページが見られますが、これには賛成できません。決定的に違うのは材料の安全性です。 石けん作りに欠かせない薬品である苛性ソーダは、毒・劇物取扱法や薬事法で劇物と指定されているたいへん危険な薬品です。私は化学物質の安全性試験を行なう研究所に勤めていますが、苛性ソーダはその中でも最も取り扱いに注意しなければならない試薬の一つで、私たちが実験室で苛性ソーダを扱うときは、保護めがね、保護手袋をつけ、安全キャビネット内で慎重に取り扱っているほどなのです。石けん作りには濃度にして約30%の苛性ソーダ溶液を使いますが、このような高濃度の苛性ソーダ溶液はきわめて危険で、皮膚についたら激しく皮膚を侵し、ほんの1滴でも目にはいると失明のおそれがあります。苛性ソーダの「苛性」とは、皮膚を侵す性質があるという意味なのです。市販のレンジ用洗剤やカビ取り用洗剤には、油やタンパク質を分解するために苛性ソーダが入っていますが、石けん作りに使う苛性ソーダの濃度は、カビ取り洗剤中の濃度より実に50倍も濃いのです。 このような危険な薬品を家庭に持ち込むのですから、相当慎重になった方がいいでしょう。はじめは、おそるおそる慎重に扱っていても、少し慣れてくると、誰でもちょっとした不注意をすることがあり、事故はこのようなときに起こります。 次に、苛性ソーダで石けんを作るときの注意点をあげておきました。 ■苛性ソーダを扱うときの注意点 ▼ 苛性ソーダを溶かすのにジャムの瓶を使ってはいけない 化学実験をする人にとって、急に発熱する薬品を肉厚のガラス容器に入れないのは常識です。その理由は、熱のためガラス容器の内側が膨張します。発熱した苛性ソーダを冷やすために瓶を冷水に浸けると、瓶の外側が収縮し、瓶の内側と外側でひずみが生じ、底が抜けたり、瓶が割れたりします。このとき苛性ソーダが飛び散って、きわめて危険です。 ▼ 苛性ソーダに水を注いではいけない これも、化学実験では常識です。苛性ソーダは水に溶けるとき急に発熱します。水の量が少ないと突沸することもあり、きわめて危険です。水の中に、注意しながら苛性ソーダを入れていく方がずっと安全です。 ▼ 苛性ソーダは換気扇の下で溶かす 熱くなった苛性ソーダからは、苛性ソーダを含んだ蒸気が発生しますが、この蒸気をすうと鼻粘膜がおかされます。苛性ソーダを溶かすときは、換気扇の下で行ってください。 ▼ ブレンダーは絶対に使ってはいけない 油と苛性ソーダを混ぜるとき、長時間混ぜる必要があるので、中身が飛び散ることがあります。ブレンダーを使う人もいますが、きわめて危険です。けん化途中のドロドロの油と苛性ソーダが皮膚についたら、たいへん落ちにくく、いわば苛性ソーダ入りのクリームを塗った状態になります。ましてや、それが目に入ったりしたら非常に危険です。 ▼ 子供やペットには最注意 けん化が進み、型入れするまでに数時間かかりますが、このとき、子供やペットのいる家庭ではとても事故が起こりやすくなります。子供が、お菓子と間違えて、石けん生地をさわろうとしてドキッとしたことはありませんか? ▼ お酢で中和しても意味がない 型入れした後のボールや泡立て器などの器具には、強アルカリのクリーム状の石けん生地がついているので、扱いには十分な注意が必要です。お酢で中和するとよいと書いた本もありますが、油分が多いので水をはじいて中和できませんし、お酢を使うと、かえって洗いにくくなります。 ▼ ゴミにも注意が必要 片づけに使った石けん生地のついた紙や新聞紙も、慎重に処分する必要があります。うっかりゴミを出すときに触れないように、また、ゴミ収集の時に作業員が触れないように処理する必要があります。 石けん作りの楽しさの陰に、このような危険が潜んでいることを忘れてはいけません。別のページでは、上のような危険を回避して、安全に、しかもかんたんに、石けんが作れるペットボトルを使った作り方を紹介しています。 |